自社株相続
先日新聞で、とても興味ある記事が出ていました。それは、相続した自社株の評価が不当に低いとして、
名古屋国税局が申告漏れを指摘したことでした。
教育出版書籍を手掛ける会社の創業者が遺した自社株式を、納税者が1株18円で申告したところ、
国税局が3倍に当たる55円として差額130億円を修正するよう指摘したことです。
会社側は、国税当局が定めた「財産評価基本通達」に基づき、おそらく「類似業種比準価額方式」で
申告したものと思われます。
普通は、この評価通達に基づき申告して、計算が正しければ何ら問題ないのですが、今回はあえて
否認したというものです。
国税局は、「通達通りに評価すると、極端に低額となり不適当である」と判断したと言っています。
そうできる理由は、租税負担の公平を著しく害することが明らかな「特別な事情」があるということを
意味しています。
たとえば、過去に売買事例があったことの可能性がありますが、非上場株にそれほど多い売買事例が
あったとは思われません。
国が定めた評価方法を、国が自ら否認することは、われわれ税理士にとっては、いったいどう評価して
いけばいいのか、戸惑うことになってしまいます。この否認理由が本当に納得できるかどうか、非常に
興味を持って見届けたいと思っています。