宅急便
とうとうヤマト運輸が、値上げの方針を決めたと報じられました。消費者向けには
5~20%、大口顧客にはさらに値上げ率が高くなるようです。
ネット通販による宅配便の増加に、配送サービスが追い付かなくなったことと、配送単価の
下落による業績の急低下が、大きな原因であることは間違いありません。
業界最大手が、このような事態に陥ったことは、厳しく言うと経営陣の怠慢と言われても
仕方がないのかもしれません。
しかしそれ以上に、消費者を取り巻く大きな環境の変化が、自社努力をかき消すほどの
事態をもたらしたものと言わざるを得ません。
アマゾンを始めとする大口顧客は、自社のシェアを伸ばすために、宅配価格を抑えることを
要求しますし、一方消費者は安ければ安いほどいいですし、さらに時間指定や再配達、当日配達
などの過剰と思えるサービスに、供給側の経営資源が対応できなくなったわけです。
この問題は、一過性で終わるとは思えません。本質的な問題が窺えます。それは、消費者が
要求する以上のサービスまで、ネット通販会社が創り上げ、宅配会社に要求したことです。
大口顧客の要求が、価格支配力を持ったことにより、いびつな構造となったわけですので、
ヤマトだけの問題でなく、大口顧客との共存に向けた取り組みが必要になるのではないでしょうか。