今年は酉年
今年は酉年ですが、酉といえばトリ、すぐ頭に浮かぶのはニワトリです。私はニワトリには、
とても愛着があります。
と言いますのも、まだ子供のころ、当時はどこの家も貧しくて、我が家も例外ではありません
でした。むしろもっと貧しかったかもしれません。
そこで我が家では、ニワトリをいつも200匹くらい飼っていました。卵を近所の人たちに
売って、家計の一助にしていました。
そのニワトリの世話をするのが、子供の私の役割でした。ニワトリは雑食性ですので、エサは
残飯があるときは残飯を、無いときは、農協で買ってきた米ぬか、小粕、それにオオバコという
雑草を切り刻んで与えるのです。
朝、産んで間もない卵を集めるのも私の仕事でした。鶏小屋に入って暖かい卵を取ってくるのですが、
ミカン箱でまだ卵を温めているニワトリから失敬するのですが、時々くちばしで突っつかれるのです。
これがとても痛いのです。
外で放し飼いにしないからでしょうか、だんだんと卵は殻が軟らかくなって割れやすくなります。
そうならないよう、海岸に行って貝殻を拾ってきて、トンカチで粉々にして餌に入れるようにしていました。
それから鶏小屋のフンを掃き出して掃除をするのですが、鶏糞はあまり臭くなく、畑の肥料にもってこい
でした。たまに掃除中ニワトリが外に逃げ出すことがありました。
そういう時、捕まえようとするのですが、逃げ足が結構速いのです。いざ捕まえようと思ったときに、
10m~20m位飛んでしまうのです。結構難儀しました。
最後にやっと捕まえる状態になったとき、ニワトリはいつも同じ格好をします。それは足を曲げ体を低くし、
羽を広げるのです。もう逃げようとしません。こうなると簡単にわしづかみです。
ニワトリは卵を産まなくなったら、もうエサを与えることはできません。そういう時は、業者の人に
売るのですが、ときどき家で食用にしていました。
ニワトリを絞めることは、かわいそうで、とうとうできませんでした。いつも母親の役割でした。
また、羽をむしることも出来ませんでした。勇気を出してやろうとするのですが、やっぱりできないのです。
それから鶏社会にはどうも上下があるようでした。一つの小屋には2,30羽いましたが、その中の
2,3羽はいつも他のニワトリにくちばしで突っつかれていました。その場所は、羽のないおしりの所です。
ですから、おしりの所が血で滲んでいるのです。かわいそうでしたが、どうしようもありませんでした。
つい最近、テレビで見たのですが、3羽の雄鶏が、朝「コケコッコー」と鳴く様を放映していました。
いつも鳴く順番が決まっているのです。必ず最初に鳴く鶏は決まっていまして、2番目に鳴く鶏も決まって
いるのです。次は最後の3番目と思いきや、3番目は鳴かないのです。
どうしてだろうと不思議に思い、最初に3羽を小屋に入れたときの録画を再生すると、1羽が他の2羽に
追いかけられて、いじめられているのです。その鳥が3番目の鶏だったのです。
このテレビを見て、やっぱりそうだったのだ、と合点がいきました。すべて動物社会には上下がある
ということです。人間社会はどうなのでしょうか。