「資産活用通信2018年11月号」を発行しました
特集記事は、相続時の配偶者の権利を大幅に拡大!~改正民法(相続法)のポイント~Part 2です。
夫婦間の自宅の贈与等を保護する制度の創設
-公布日(7月13日)から1年以内に施行-
婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、夫が所有する居住用不動産を妻へ遺贈・贈与した場合、これまでは、原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱われるために、遺産分割の際に特別受益の持ち戻しが行われ、その分、取得財産が減り、「妻の老後の生活保障」という夫の意思が反映されませんでした。
改正により、遺産分割の際に遺産の先渡しを受けたという取り扱いがなくなり、妻はより多くの財産を取得できます。(図表)
その他にも次のような改正がありました。
(1)財産目録のパソコン作成が可能に!
従来、自筆証書遺言は、全文を自署(手書き)する
必要がありました。改正では、要件が緩和され、遺言のうち財産目録についてはパソコンで作成することが
認められました(ただし、各ページに自署押印が必要)。
また、封をしていない自筆遺言において、法務局で保管する制度も創設されます。
(2)預貯金の仮払い制度
従来は、相続財産となる預貯金債権は、遺産分割の対象に含まれ、共同相続人による単独での払戻しが認められませんでした。改正では、預貯金債権の一定金額について、単独での払戻しが認められます。また、仮払いの必要性があれば、家庭裁判所が仮払いを認める制度も創設されます。
(3)相続人以外の親族の貢献に考慮
従来は、相続人の妻など相続人以外の相続人の親族が、被相続人の介護を尽くしても、相続財産を取得することはできませんでした。改正では、被相続人の介護を行っていた相続人の妻などが、一定の要件を満たせば、相続人に対して金銭の支払いを請求できるようになります(対象は親族に限られる)。