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経営通信2020年1月号「経営理念で会社の未来を変える!」

経営理念で会社の未来を変える!

中小企業を取り巻く経営環境は厳しく、従来の方法や思考だけで乗り切ることが難しくなっています。しかし、世の中の変化を捉えて、発送の転換を図り、理念を新たに作成したり、現代的に変えることで新たな事業展開や行動を生み、事業の拡大に成功した企業があります。この事例は、経営理念の重要性を示した好事例といえるでしょう。

◎白アリ研究・防除に取り組み120年

 株式会社アイジーコンサルティング(本社:静岡県浜松市)は、創業者・満尾計佐次氏が「木造の建造物が白アリによって崩壊することを何とか食い止めたい」との社会的使命感から、1899年に白アリ防除の研究を始めたのがスタートです。その後、二代目の義弟・井上芳良氏が、歴史的建造物や重要文化財の白アリ防除を事業として軌道に乗せ、1969年、三代目・井上裕剛氏は、株式会社井上白蟻研究所を設立し、一般戸建て住宅の白アリ防除や腐朽対策にも目を向けて事業を拡大します。
転機は、現社長(四代目)・井上剛一氏の就任(1996年~)でした。前年に発生した阪神・淡路大震災では、多くの木造住宅が倒壊し、中でも白アリによる腐朽被害に遭っていた建物の約8割が全半壊しました。そのような中、井上社長は「本来、人が安心して暮らし、幸せを育む場である“住まい”によって、人命が失われるという不幸が起こってはならない」との思いを強くしました。
その一方、悪質な同業者の存在は、白アリ防除会社の社会的なイメージを損ない、社員も仕事に自信や誇りを持てず、若い人材も集まらないという状況をつくっていました。

◎防除から、住環境を育む会社へ

 同社は、顧問税理士からのアドバイスや創業以来の歴史を振り返り、「白アリ防除そのものが事業目的ではなく、住環境や社会インフラの維持・整備を通じて社会に役立つことが事業目的であり、使命であり、そこに自分たちの誇りと喜びがある」という思いに至りました。
その結果、経営理念を「快適な住環境事業の創造を通じて社会と社員の生活向上に貢献する」に変え、社名も現在の「アイジーコンサルティング」へと変更しました。それまでの、白アリ防除を中心とした事業から、“住環境を育む会社”へと脱皮して、住宅の新築、メンテナンス、リフォーム、耐震補強など幅広く事業を展開し、若い人材も集まり、住環境価値創造企業として日々邁進しています。

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