経営通信2019年10月号「10月1日をまたぐ取引の消費税率に注意しよう!」
10月1日をまたぐ取引の消費税率に注意しよう!
1.保守サービス料金は月払い・年払いに注意
複合機のカウンター料金などの保守サービス料金は、例えば、保守サービス会社(サービスの提供側)が、請求締日を20日に設定し、月ごとの保守サービスについて料金を請求する場合、「9月21日~10月20日まで」を請求期間とする請求書が発行されます。
この場合、「9月21日~10月20まで」の計算期間が一つの取引とされ、サービスの提供完了日は10月20日となり、請求書の全期間について新税率10%が適用されます。
月額契約の保守サービス料金を1年分一括して支払った場合、その保守サービスが月々完了するものであれば、10月以降分には新税率10%が適用されます。(図表1)
2.店舗や事務所などの不動産賃借料は経過措置、契約内容に注意
(1)2019年10月分の貸借料の適用税率
翌月分の家賃を当月末に支払う契約の場合、2019年9月末に支払う10月分の家賃には、新税率10%が適用されます(ただし、経過措置が適用される場合を除く)。
(2)経過措置が適用の有無を確認する
2013年10月1日から2019年3月31日までに賃貸借契約が締結され、2019年9月30日以前から継続して行われている不動産の貸付については、一定の要件を満たせば、不動産賃貸借契約は経過措置の適用を受け、旧税率8%が引き続き適用されます。(図表2)
家主とテナントとの間で、経過措置の適用について相違がないように契約内容が一定の要件を満たしているかどうか、以下の記載があるかを確認しましょう。
❶貸付期間と期間中の家賃の額
❷家賃の変更を求めることができない旨
(注)❷の要件を満たす賃貸借契約書は一般的に少ない
3.リースは引渡し日に注意
2019年9月30日までに物件の引渡しを受けた通常のリース契約(所有権移転外ファイナンスリース)については、10月1日以後に支払日が到来するリース料であっても旧税率8%が適用されます。(図表2)
リース料を支払いの都度、費用計上している場合には、旧税率8%で会計処理を行う必要があるため注意が必要です。
4.電気、ガス等の料金は10月中の料金確定分までは8%
電気、ガス、水道、通信等の料金は、月単位ではなく供給元の事業者が定めた計算期間に従って使用量などを検針し、利用者に料金の請求が行われます。
これらについては、2019年10月31日までの使用量に基づき支払料金が確定するなど一定の料金について経過措置の適用があり、10月1日以後の部分を含めて旧税率8%が適用されます。(図表3)