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FP通信2025年2月号「iDeCo改悪?本当にそうなのか 」

iDeCo改悪?本当にそうなのか

最近、SNSやニュースで「iDeCo改悪」という言葉を目にすることが増えています。2025年度の税制改正大綱に盛り込まれた変更点が発端となり、多くの方が不安を感じているのではないでしょうか。しかし、この改正は本当に「改悪」なのでしょうか?
今回は、その内容を詳しく見ていきます。

iDeCoの基本的な税制優遇

まず、iDeCo(個人型確定拠出年金)の大きなメリットとして、以下の3つの税制優遇措置があります。

1. 掛金が全額所得控除
拠出した金額は所得控除の対象となるため、所得税や住民税を軽減できます。

2. 運用益が非課税
通常、運用による利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCo内での運用益には税金がかかりません。

3. 受取時の税制優遇
受け取る際に「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用され、税負担が軽減されます。

このうち、今回の改正が影響を及ぼすのは「受取時の税制優遇」に関する部分です。

何が変更されるのか?

従来の制度では、

iDeCoを一時金で受け取る場合、退職所得控除を適用可能。
・ iDeCoを先に受け取り、その5年以上後に退職金を受け取れば、それぞれの受け取りに対して独立して退職所得控除を利用可能。

しかし、新制度ではこの「5年ルール」が「10年ルール」に変更されます。つまり、

iDeCoを60歳で一時金として受け取った場合、10年以上経過しないと退職金に対して退職所得控除を再び適用できなくなります。
・ 10年以内に退職金を受け取る場合、iDeCoと合算され、退職所得控除の枠が共有されることになります。

どのような影響があるのか?

この改正が影響を与えるのは、以下のような方々です。

・ 60歳でiDeCoを受け取り、65歳以降に退職金を受け取る予定だった人
これまでなら「5年ルール」により、両方に満額の退職所得控除を適用できました。 しかし、新ルールでは10年空けないと満額適用ができず、税負担が増加する可能性があります。

・ 長く働き、退職金が高額な人
 企業年金や退職金の額が大きい人は、iDeCoと合算されることで退職所得控除の上限に達しやすくなります。

一方で、以下のような方には影響がほぼありません。

・ 退職金を65歳より前に受け取る人
60歳定年で退職金を受け取る場合、そもそもiDeCoの受け取りから5年以上の間隔を空けて受け取ることができません。

・ 退職金がない人
そもそも退職金がない場合、iDeCoのみで退職所得控除を活用できるため影響ありません。

これって本当に「改悪」?

確かに「5年ルール」が「10年ルール」に変わることで、受取時期の選択肢が減り、一部の人の税負担が増える可能性があります。しかし、これは「抜け穴」とされていた仕組みを公平に整える目的もあるため、必ずしも改悪とは言い切れません。
また、iDeCo自体の税制優遇措置(掛金の所得控除や運用益非課税)はそのまま維持されており、制度の基本的なメリットに変わりはありません。さらに、掛金の上限額引き上げも予定されており、長期的な資産形成の観点から見れば「改善」された部分もあります。

まとめ

今回のiDeCoの税制改正は、「5年ルール」の見直しによる一部の人への影響があるものの、制度全体の優遇措置は維持されています。「改悪」という言葉に振り回されず、自分にとっての最適な資産運用計画を考えることが重要です。iDeCoの活用方法を見直し、老後の資産形成に役立てていきましょう。

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