FP通信2024年10月号「iDeCo、NISA、変額保険の違いとメリット・デメリット 」
iDeCo、NISA、変額保険の違いとメリット・デメリット
資産運用の選択肢として「iDeCo」「NISA」「変額保険」の3つがよく比較されます。それぞれの特徴を理解して上手に資産運用を行いましょう。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
老後資金を効率的に準備するための制度で、毎月自分で掛け金を出し、それを定期預金や投資信託などで運用します。60歳以降にその成果を受け取ることができ、公的年金に上乗せする形で「自分年金」を作る仕組みです。
(1) メリット (節税効果)
掛け金が所得控除の対象となり、運用益も非課税で受け取れます。
(2) デメリット (流動性の制約と手数料がかかる)
60歳までは原則としてお金を引き出すことができません。また、口座開設や維持に手数料が必要です。
(3) iDeCoを優先したい人
所得控除の恩恵を最大限に享受したい、老後資金を計画的に貯めたい人には、iDeCoが向いています。特に、所得が多いほど節税効果が大きくなるため、高所得者にとっては非常に魅力的です。
NISA(少額投資非課税制度)
NISAは、投資による利益が非課税となる制度です。2024年からは「新NISA」として制度が強化され、生涯にわたって非課税で投資ができるようになりました。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があり、株式や投資信託に幅広く投資できます。
(1) メリット (税制優遇と自由な引き出し)
生涯にわたり非課税で投資ができ、投資額の上限も大幅に拡大されました。また、NISAでの投資資産はいつでも引き出せるため、教育資金や住宅資金といったライフイベントにも対応できます。
(2) デメリット (損益通算ができない)
他の特定口座等との利益と損失を相殺することができず、また損失の繰越控除もありません。
(3) NISAを優先したい人
少額から始めたい人や、リスクを抑えつつ長期的に資産を増やしたい人、自由に引き出しができる資産運用を考えている人には、NISAが適しています。ライフイベントに備えた資金形成をしたい人に特に向いています。
変額保険
変額保険は、生命保険と資産運用が一体となった商品です。保険料の一部を投資信託で運用し、その成果によって死亡保険金や解約返戻金が変動します。運用がうまくいけば、保険金の額が増える可能性がありますが、逆に元本割れするリスクもあります。
(1) メリット (保障付きの資産運用とインフレ対策)
死亡保険金があり、運用次第で資産が増える可能性があります。また、変額保険は、インフレにも対応しやすい商品です。
(2) デメリット (リスクが高い)
運用が失敗すると解約返戻金が減少する可能性があります。また、解約控除が発生するため、途中解約にはコストがかかる点も注意が必要です。
(3) 変額保険を優先したい人
保険による保障を重視しつつ、資産運用も同時に行いたい人や、生命保険料控除を活用して節税したい人におすすめです。
まとめ
iDeCo、NISA、変額保険はそれぞれ異なる目的とメリットがありますので、どの制度を優先すべきかは、個々のニーズやライフステージに応じて異なります。いずれも併用が可能なので、資金に余裕がある場合は、それぞれのメリットを活かし、組み合わせて利用するのも良い方法です。資産運用を始める際には、自分に最も適した方法を選び、計画的に進めていきましょう。