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経営通信2021年11月号「今後増加する 法定福利費(事業主負担)について知っておこう」

今後増加する法定福利費(事業主負担)について知っておこう

「法定福利費」をきちんと把握していますか?

企業が福利厚生のために支払う費用のうち、法律で義務付けられているものを法定福利費といいます。具体的には社会保険料・労働保険料の事業主負担分のことで、下記6種類が該当します。

① 健康保険料
② 介護保険料
③ 厚生年金保険料
④ 子ども・子育て拠出金
⑤ 雇用保険料
⑥ 労災保険料

パート・アルバイト従業員も全員「社会保険」に加入する時代が来る?

社会保険は、令和4年10月に従業員101人以上、令和6年10月に従業員51人以上の企業を対象に適用拡大が行われます。
適用拡大の対象となった企業では、

① 所定の労働時間が週20時間以上
② 月額賃金が8.8万以上
③ 2か月を超える雇用の見込みがある
④ 学生ではない

という4つの条件を満たす、すべての従業員が社会保険の加入対象となります。
政府は将来的にすべての勤労者が社会保険に加入するよう制度改革を進める方針で、今後、従業員規模や月額賃金に関する条件がさらに改められる可能性もあります。

「雇用保険料」が、年2回も引き上げに!

令和4年には、2段階にわたる雇用保険料の引き上げが行われます。その理由となるのが、コロナ禍で特例措置が設けられた雇用調整補助金です。
令和2年4月1日の特例措置開始から令和4年6月10日までの間に、支給が決定した分だけでもおよそ5.7兆円もの支出になり、財源の確保が喫緊の課題になっているのです。
改定後の料率は、過去最高というわけではありませんが、失業率の高かったITバブル崩壊後の水準に近づきます。 

法定福利費の増加に、どう対応するか

法定福利費は、従業員が多ければ多いほど支払額が多くなります。一見すると労働者を雇用するときのコストに思えますが、機械化や合理化、IT化、DXの推進によって従業員の労働生産性を高めることで、実質的に法定福利費の負担を軽減することができます。
また、法定福利費は会社の売上や利益ではなく、従業員の給与と連動しています。賃金は、最低賃金の引き上げ、人材の確保などで上昇する可能性があります。その上昇分を賄うには、業績を伸ばして、限界利益(粗利)を増加させる必要があります。
法定福利費の上昇が予想される今こそ、労務について見直す機会です。貴社の現在の経営状況と、法定福利費の負担額などを考慮して、この機に労務の最適化を図りましょう。

出典:TKC事務所通信

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