経営通信2021年8月号「電子化された領収書や契約書に印紙税はかかるのか?」
電子化された領収書や契約書に印紙税はかかるのか?
印紙税が課税される文書とは?
印紙税が課税される文書(課税文書という)と印紙税額は、印紙税法に定められており、国税庁の「印紙税額一覧表」にて、確認することができます。印紙税法に定めのない文書は、不課税文書として課税されません。
課税文書のうち、記載金額5万円未満の領収書など例外的に課税されない文書は、非課税文書になります。
課税文書にあたるかどうかは、その文書の名称ではなく、内容によって判断されるため注意が必要です。例えば、文書に「契約書」という名称がなくても、内容が契約に関するものであれば、課税文書と判断されます。
主な課税文書、不課税文書は、下記のとおりです。
< 課税文書 >
・不動産売買契約書
・土地賃貸借契約書
・金銭消費貸借契約書
・請負契約書、請書、請負金額変更契約書
・約束手形、為替手形
・売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書
・領収書 (金銭または有価証券の受取書)
※課税文書のうち、金額によっては非課税文書になるものがあります。
< 不課税文書 >
・物品譲渡契約書
・物品賃貸借契約書(リース契約書)
・建物賃貸借契約書
・発注書
・抵当権設定契約書
・電子データ化された領収書や契約書
※文書の記載内容によっては、課税文書とみなされるケースもあるため、注意が必要です。
PDFなど電子化された書類に印紙税は課税されるのか?
印紙税は、紙の文書に課税されます。例えば、商品販売において、振込入金後にPDFなど電子化した領収書を電子メールで得意先に送信しても、紙の文書の交付にはならないため課税文書にあたらず、印紙税は課税されません。
ただし、電子メールで領収書を送信後、改めて紙に印刷して送る場合、それは課税文書として印紙税が課税されます。
PDF化された領収書などを保管のため紙に印刷したら?
取引先に電子メールで送信したPDFデータの領収書や契約書などを保管のために紙に印刷しても、課税されません。また、取引先がそのPDFデータを保管のために印刷しても、印紙税はかかりません。
印紙の貼付もれがあるとペナルティーがある
印紙税は、定められた金額の収入印紙を文書に貼り、消印(割印)を押すことで納税します。
「課税文書でないと思っていた、貼り忘れた、収入印紙を貼ったものの金額不足や消印もれがあった」というケースでもペナルティーがあります。印紙税の調査では、故意、過失に関係なく、収入印紙が正しく貼られていなければ、原則として納めなかった印紙税の3倍または、1.1倍の過怠税が徴収されるため注意が必要です。
出典:TKC事務所通信