タワーマンションで相続税節税 続き
タワーマンションは、購入した時点で確かに計算上、相続税の節税にはなります。しかし、
この節税は、未実現のものです。相続が発生して初めて節税が実現することになります。
ところで、タワーマンション購入して1か月後に相続が発生し、1年たたずに売却した事例があります。
国税不服審判所で争われたものですが、期間が短すぎることと、節税目的が明確であることで、
購入価額という高い価額で財産評価すべきだと採決され、否認となりました。
タワーマンションを購入した合理的理由がなかったものとされたわけです。逆にいうと、
条件整備をすることで、納税者側が勝訴できる可能性はありますが、それだけ慎重に対処
しなければなりません。
私は以前タワーマンションに仕事で訪れたことがありますが、入居者の方が、「ベランダに出ると
風が強すぎて洗濯物が干せなくて、室内で干しているんですよ」と聞いたことがあります。
確かに見晴らしは良いかもしれませんが、地震の際の怖さとか、エレベーターの時間がかかるとか、
案外居住しづらいかもしれません。
それと、タワーマンションを3億円で買ったとしても、自分で住むのならいいのですが、
節税目的で買ったとしても、空き家にしておくのは資金の運用上からも、あまり意味がありません。
3%で運用するなら、年間家賃900万円、月額家賃80万円を支払う人がいるでしょうか。
それだけの家賃を支払う人なら、自分でマンションを買ってしまいます。せめて、外資系の会社の
借上げ役員住宅ぐらいしか、用途はないでしょう。
購入後、年数がたつほど、中古マンションとして資産価値は劣化していきます。売却できたとしても
譲渡損がかなりの額になったとしたら、相続税の節税額も吹っ飛んでしまいます。
いずれにしてもタワーマンションを購入する際は、業者の甘言に惑わされずに、慎重に判断しなければ
なりません。