芸術とは
人は、絵画や彫刻、陶器などを見たときに、惹かれるときがあると思います。
特に優れた作品を見た時に、その思いが強く現れます。
先月のことですが、軽井沢の千住博美術館を訪れる機会がありました。
そこでは従来の日本画とは異なった作品が展示されていました。
私自身、芸術とはいったい何だろうという思いに駆られました。
こうした芸術とは何か、ということを、日本画家の千住博が、
『芸術とは何か』という本でこう述べていました。
「人間という複雑で混沌とした存在が、何とか人や自然との関係を
良くしようとして、生み出したものが芸術です。つまり芸術とは、
イマジネーションのコミュニケーションに他なりません。」
「私たちには、時として伝達不可能と思える、心や頭の奥底からの
イマジネーションが生じます。これを、人や自然と理解しあって生きていくために、
あらゆる表現手段を駆使して伝えていこうとするときに生まれる熱量の産物、
それを芸術というのです。」
つまり、結局は芸術とは、芸術家が自分の伝えたいと思うことを、形を通して
現そうということなのではと、理解しました。
私は今まで芸術家とは、自分の好きなことを勝手に表現しているだけだと
思っていたのですが、そうではなかったのです。
ところで抽象画はどう考えればいいのでしょうか。千住氏は、半分以上は
自分でもよくわからない、と言っていました。作者に意味するところを聞いてみても、
それでもわからない作品が多い、と言っていました。
先鋭化した作品は、どうも本人しかわからないのが本当のようです。晩年の
ピカソの作品も、そうなのかもしれません。
いずれにしてもこれからは、作品を見るときに、作者が何を訴えたいのかを、
見ていきたいと思っています。
芸術とは芸術とは