時代物文庫
書店に行くと文庫本コーナーでは、時代物がいくつも平置きになっています。
私は時代物が好きですので、ついつい手に取って見てしまいます。
それにしてもシリーズ物が多いのに驚きます。一旦そのシリーズに入ってしまうと、
次の刊行が待ち遠しくなり、のめり込んでしまいます。
ところで一体全体、時代物が多すぎます。どうも安易な本も多いような気がします。
そこで、今では『居眠り磐音 江戸双紙』と『はぐれ長屋の用心棒』の2つにとどめることに
しています。
時代物は、なんといっても池波正太郎でしょう。『剣客商売』も『鬼平』も人生を味わわせる、
娯楽を超えたものがあります。
藤沢周平もいいです。初期のころは、読んでいても暗くて辛いものが多かったのですが、
晩年になるにつれて、一抹のほろ苦さと共に、これからの明るさと希望を謳い、読後の
さわやかさがあります。
最近注目しているのが、葉室麟です。名前の通り、「凛として生きる」をすべての本の
中心テーマにしている気がします。
資料を丹念に調べ上げ、独自の価値観で書き上げていますが、文体が固い面があります。
これからどのように変化していくのか興味があり、期待しています。
時代物は、その時代にタイムスリップして、あたかも一人の人間として生きているという
醍醐味を味わうことができます。人間は現実から離れ、空想を楽しむことも人生の一つ
なのかもしれません。
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