マネーフォワードの上場
フィンテック企業であり、クラウド会計ソフトを手掛けるマネーフォワードが、東証マザーズに
上場しました。
ITとAI,そして金融を融合させているフィンテック分野のベンチャーとしては、初の本格上場
となるだけに、市場の期待も集め、公開価格1.550円を大きく上回る3085円で初日を終えました。
ところでこのマネーフォワード(MF)の決算を見てみますと、特異なことに気が付きます。
貸借対照表では、総資産33億円に対する純資産12億円の割合は35%ありますので一応安全性は問題ない
水準です。
ところが、過去の蓄積である利益剰余金が大きなマイナスであり、株主からの資金調達である資本金が
それを大きく上回っているという特異な状況です。
一方損益計算書を見ると、売上高12億円に対し、広告宣伝費が多額に計上されていることもあり、
経常利益が約7億円の赤字です。これは設立以来ずっと続いています。
売上高は毎年倍々ゲームで増加していますが、これはアメリカのアマゾンを彷彿させます。アマゾンも
毎年赤字を計上していましたが、投資家がその成長性に大きな期待を持ち、投資を続けたことにより
資金を確保し、今のアマゾンが出来上がったわけです。
マネーフォワードが同様な成長を遂げるかはわかりません。競合先としてFreeeがあります。
クラウド会計ソフトを導入している企業のうち、Freeeのシェアが32%、MFは19%と
大きく差を開けられています。どうもMFが勝ち頭になるのは厳しいかもしれません。
いずれにしても、今後の推移をみることにより、日本でのフィンテックの先行きが見通せるかもしれない
と、思っています。